児玉誉士夫 - 巨魁の昭和史
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児玉誉士夫(こだま よしお)
昭和の裏社会と表社会を掌握していたフィクサーである。
『児玉誉士夫 - 巨魁の昭和史』 有馬哲夫著 文春新書
この本を読むまで、児玉誉士夫=右翼の黒幕、政治の贈収賄に絡むひどい奴くらいにしか思っていなかった。
この本を、読み終える時には、児玉という男が戦後の日本建国にどれだけ貢献したかよく理解できた。
メディアが報じる悪者とは少し違っているようだ。
金と人脈を使いあらゆる手段で計画を進める行為は賛否両論あるだろうが、ただ私利私欲を肥やすための汚い政治家とは違い、日本が将来どうするべきかをしっかり考え行動していたことは感銘を受けた。
戦時中、戦後占領下のもと、日本の為に尽力したことと、その行動力と策略っぷりは見事だ。
アメリカ、CIA、国内左派の勢力、メディア、世論、政治家を相手に巧みに策略を進める様は圧巻だった。
そして、政治家の岸信介、中曽根の立ち回りもたいしたものだ。
この本で、表面的な昭和しか見えてなかったのが、昭和の裏工作を時系列に把握できる良書である。
余談だが、本書にはCIAの公式文書も資料として度々でてくるが、CIAがこれほどまでに占領後も日本のことを詳細に調べ上げ把握し、なお内政干渉してコントロールしていたのにも驚いた。
最後はロッキード事件で起訴され、最後まで逃げ切って判決の直前で亡くなっている。
右翼思想の児玉が、戦後占領下のアメリカ支配からの脱却、日本の自主防衛強化を掲げた思想と行動は大いに評価したいし、今の弱体化した日本に必要なことだと思う。
今の日本でヤクザも政界も操れるフィクサーは日本人でいるのだろうか。
ロックフェラーくらいしか思いついかない。
幕末から続く欧米列強の支配や、近年の韓中からの反日が過熱している中、ここらで自分達の国を自分達で守る民主化ハイブリッド大日本帝国を再建したいものだ。平成の児玉誉士夫が登場したら面白いことになりそうだ。
一読の価値あり
『児玉誉士夫 - 巨魁の昭和史』